RPA
RPAによる受注伝票発行の自動化
使用ソリューション
お得意先様から注文データをExcelで受領し、そのデータを基にRPAが受注伝票を自動発行する仕組みです。人が手作業で行っていた発伝業務を1日に2回、RPAが自動で行うようになりました。RPAとはRobotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の略称で、ルールエンジン・機械学習・人工知能などを活用して業務をロボット化し、効率化・自動化する仕組みのことをいいます。
Interview
─ 河村株式会社の紺谷俊介専務取締役が最も問題視していたのは、お得意先様からの注文に対する発伝業務、注文書作成、確定業務の部分で多大な時間がかかっていることでした。
注文量は多いときは1日に30件ほどになります。通常の発伝業務ならそこまで多くはないと感じるかもしれませんが、取扱商材の種類が多岐にわたっており、マスタ整備もできていなかったため、注文内容に応じて毎回メーカーや品種ごとに異なる計算ルールで手作業による単価や数量の特殊計算を行った上で、伝票を入力するという運用でした。そのため、この商流の受注業務は特定の社員に属人化せざるを得なかったと言います。
2017年にPROTS IVを導入し、経理業務やオペレーション業務などの効率化・業務改善を図り、一定の効果が出ていましたが、この商流の受注業務が懸念点としてずっと残っていたとのことでした。
今回、ご相談をいただいて業務内容や運用フローをヒアリングさせていただいた結果、RPA導入が費用対効果も大きく業務改善が見込まれること、将来的に拡張性もあるという点をご評価いただき導入に至りました。
─ RPAを導入するためには、伝票発行におけるすべての作業を自動化する必要がありました。Excelで受領したデータだけでは情報が足りず、特に現在手計算している特殊処理の部分をPROTSで自動計算する仕組みを構築することが最大の壁でした。
(紺谷専務)この難関を突破して自動計算を確立しなければRPAを導入する意味がないとICTS担当者からも言われ、PROTSの自動計算における考え方を教えてもらいました。
メーカーや品種を加味した自動計算を実現できるように、目的の本質を理解した上で仕組みを考える必要がありました。手配担当と営業担当とICTS担当者で協力して知恵を出し合った結果、商品マスタや自動単価マスタの整備を工夫することで今まで実現できなかった化成品の複雑な数量計算、m単価、㎡単価、連単価と金額計算を顧客から受領したExcelデータのままで自動計算できる仕組みが実現できました。そしてこの仕組みの確立により、今後、同じような品種での入力にも展開できる幅が広がります。
本来であればPROTS入替の際に考える必要があったことだと思いますが、今回このRPA導入という機会に苦労しながらも自動化を実現できたことは、遅ればせながら大きな成果になったと思います。
─ RPAの導入により、過去の伝票から引用した発伝業務を廃止し、注文データを基に自動発伝する仕組みになったことで入力ミスがなくなり、手配担当者が不在の場合もRPAの実行方法さえ知っていれば注文書の作成までが可能となったので、安心して休暇を取れるようになったとのことです。
─ 最後に紺谷専務に今後の展望についてお聞きしました。
(紺谷専務)PROTS IVから在庫情報と販売実績データをダウンロードして発注予測のExcelを作成する業務が今、営業の経験と勘に頼ってしまっている部分なので、その作成業務にRPAを活用できないかと考えています。他にもデータとして存在しているもので定型業務(例えば勤怠実績管理や人件費の計算・作成など)はRPAで自動化できる可能性があると思います。しかし、それ以前に、自分も含めた社員全員が今自分がやっている業務を理解してその業務の必要性を考える必要があります。その上で、システムを利用した変革を実現していきたいと考えています。
同社の店頭風景
RPA専用PCとして設置定時で自動実行を実現
社屋外観
※本文中の肩書および内容は2019年取材当時のものです。